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完全対策 N0.5 複素数平面・2次曲線問題の極意

はじめに
本書をつくりだしたきっかけは、2017年に慶應大医学部入試で出題された、極方程式から包絡線を求める問題を見て驚いたからです。非常に良い問題で、条件から極方程式を作り、動径rの大きさの最大値が包絡線、すなわち曲線群の外縁の曲線を求めるという問題です。この問題に出会わなければ、この主題の完全対策は作らなかったでしょう。
この問題を解くには、極方程式というものをよく理解し、包絡線を求める手順に気が付き、これを解くという3段階の難関をクリアしなければなりません。相当に力がなければ解けない問題であり、難問中の難問なのですが、個々の内容はそう難しいものではありません。組み合わさっているから難しいのです。このような問題を解くために、どんな練習をしたらよいのか、それらを集積したのが本書です。
一緒に複素数平面の問題も取りまとめました。これらは「数Ⅲの図形問題」といってもいい分野であり、いずれも出題率はあまり高くはないのですが、合格点をもぎ取るには必須の分野です。
●本書に掲載した複素数平面問題
複素数平面問題が出題されたのは、2005年まで(数ⅡB)と2015年~2017年(数Ⅲ)であり、したがって新しい過去問が少ないので、本書では、右表に示すように、東大・京大・東工大・一橋大・東工大・慶応大で出題された2000年~2005年・2015年~2017年の問題を全問収録しました(調べたところ、東工大での出題があまりに少ないのには驚きました)。本書ではその他多くの良問を収録しています。
複素数平面問題は大きく分けて次の5種類に分類できます。そしてほぼこれら5種類しかありません。さらに最後の2つは、他の分野との融合問題であり、最初の3つが大きな課題です。

  • ●複素数にかかわる計算問題(図形を使わない問題)
  • ●複素数平面上の図形問題(回転を使う/使わない)
  • ●複素数平面上の軌跡と領域の問題
  • ●複素数平面上の高次方程式の問題
  • ●複素数平面上の数列・漸化式の問題

●本書に掲載した2次曲線問題
この分野の問題は、2017年に慶應大医学部入試で出題された「極方程式から包絡線を求める問題」をスラスラと解けるようになるためには、どんな問題でトレーニングしたらよいのか、という目的で選びました。この他にも慶應大医学部では2012年に、「極方程式で表された曲線の回転体の体積の問題」が出題されており、極方程式問題は特に、医学部入試や西日本の公立大学の入試に多く出題されており、すべての難関大学の入試対策に適しています。
2次曲線問題は、次の内容に分割しました。「構造」で基本的事項を説明し、基本問題・応用問題を収録しました。その後で回転の問題と極方程式の問題、これは特に1つの章として解説しました。

  • ●2次曲線問題の構造
  • ●2次曲線などに関する計算問題
  • ●楕円・双曲線・放物線の問題
  • ●曲線の回転の問題
  • ●極方程式の問題

特に楕円・双曲線・放物線においては、典型問題である準円・準線の問題や弦の中点の軌跡の問題は、完全解説しました。
極方程式は直交座標から極座標を介在して変換します。極方程式の問題の出題頻度はあまり高くはないのですが、「極方程式を使わなければ解けない問題」が存在する以上、この分野は忘れてはいけない分野です。
多くの場合、動径の大きさは偏角の関数であり、パラメータが形状を決める場合、偏角ごとの動径の最大値、これが包絡線の外形を示します。これが、2017年に慶應大医学部入試で出題された「極方程式から包絡線を求める問題」の構造です。
本書により、受験生諸君が大きな武器を手にされることを祈願します。
2017年7月
著者

目次

第1章 複素数平面の問題
1.1 複素数平面問題の構造
●複素数のメリット
●複素数の表現
●複素数が表す図形
●複素数平面問題の分類
1.2 複素数の計算問題
《基本例題1.2.1》(複素数の絶対値の問題) 2016年慈恵医大
《基本例題1.2.2》(複素平面上の実軸との距離の問題) 2002年一橋大
《基本例題1.2.3》(複素平面上の複素数の問題) 2005年関西大/工
《基本例題1.2.4》(複素平面上のzの存在範囲の問題) 1997年北大文系
《入試問題1.2.1》(難易度B) 2017年東京理科大
《入試問題1.2.2》(難易度C) 2001年一橋大
1.3 複素数平面上の回転を使わない図形問題
《入試問題1.3.1》(難易度C) 2004年一橋大
《入試問題1.3.2》(難易度C) 2004年京大理系
《入試問題1.3.3》(難易度C) 2016年東大理科
《入試問題1.3.4》(難易度C) 2003年一橋大
《入試問題1.3.5》(難易度C) 1999年一橋大
《入試問題1.3.6》(難易度C) 2005年東大理科
《入試問題1.3.7》(難易度C) 2003年東大理科
《入試問題1.3.8》(難易度C) 2000年東大文理
1.4 複素数平面上の回転を使う図形問題
《基本例題1.4.1》(円に内接する正三角形) 2016年岩手大/工
《基本例題1.4.2》(放物線と正三角形) 2004年東大文理共通
《入試問題1.4.1》(難易度B) 2003年岐阜薬科大
《入試問題1.4.2》(難易度C) 2005年青山学院大/理工
《入試問題1.4.3》(難易度B) 2016年関西大理系
《入試問題1.4.4》(難易度B) 2005年京大理系
《入試問題1.4.5》(難易度B) 2004年横浜国大/工
《入試問題1.4.6》(難易度C) 2017年慈恵医大
《入試問題1.4.7》(難易度C) 2016年兵庫県立大/理
1.5 複素数平面上の高次方程式の問題
《基本例題1.5.1》(-1の5乗根) 2004年横浜市大/商
《入試問題1.5.2》(難易度B) 2017年日本医科大2
1.6 複素数平面上の軌跡と領域の問題
《入試問題1.6.1》(難易度B) 2004年京大文理後期
《入試問題1.6.2》(難易度B) 2017年京大理系
《入試問題1.6.3》(難易度B) 2017年東大理科
1.7 複素数平面上の数列の問題
《入試問題1.7.1》(難易度B) 2001年京大理系
《入試問題1.7.2》(難易度B) 2013年東大理科
《入試問題1.7.3》(難易度C) 2002年京大理系
《入試問題1.7.4》(難易度D) 2001年京大理系
《入試問題1.7.5》(難易度C) 2000年東工大
1.8 複素数平面上の漸化式の問題
《入試問題1.8.1》(難易度C) 2005年北大理系
《入試問題1.8.2》(難易度C) 2004年名大文系
《入試問題1.8.3》(難易度C) 2001年東大理科
1.9 複素数平面と整数の問題
《入試問題1.9.1》(難易度B) 2017年慶應大/理工
《入試問題1.9.2》(難易度C) 2013年東大理科

第2章 2次曲線の問題
2.1 2次曲線問題の構造
●従来の2次曲線
●数Ⅲの2次曲線
●2次形式による判別
●2次曲線の平行移動と接線方程式2.2 2次曲線などに関する計算問題
《基本例題2.2.1》(楕円上のx座標の最大値問題) 2012年東大文科
《基本例題2.2.2》(2次式の最大・最小の問題) 1993年武蔵工大
《基本例題2.2.3》(1次式の積の問題) 2017年昭和大/医
2.3 楕円の問題
《基本例題2.3.1》(楕円の方程式の問題) 2002年鹿児島大理系
《基本例題2.3.2》(楕円の接線方程式の問題) 2014年自治医科大
《基本例題2.3.3》(楕円の準円の問題) 2002年東工大
《基本例題2.3.4》(楕円の弦の中点の軌跡) 新作問題
《入試問題2.3.1》(難易度B) 2011年熊本大
《入試問題2.3.2》(難易度B) 2010年東医歯大
《入試問題2.3.3》(難易度B) 2007年東京理科大
《入試問題2.3.4》(難易度C) 2017年日本医科大
《入試問題2.3.5》(難易度C) 2015年順天堂大/医
《入試問題2.3.6》(難易度C) 2014年順天堂大/医
2.4 双曲線の問題
《基本例題2.4.1》(双曲線の方程式の問題) 2002年鹿児島大理系
《基本例題2.4.2》(双曲線の準円の問題) 2009年同志社大理系
《基本例題2.4.3》(双曲線の接線の問題) 新作問題
《基本例題2.4.4》(双曲線の弦の中点の軌跡の問題) 新作問題
《入試問題2.4.1》(難易度B) 2013年東大文科
《入試問題2.4.2》(難易度B) 2017年阪大理系
2.5 放物線の問題
《基本例題2.5.1》(放物線の方程式の問題) 2002年鹿児島大理系
《基本例題2.5.2》(放物線の準線の問題) 2017年東海大/医
《基本例題2.5.3》(放物線の準線と焦点の問題) 2012年順天堂大/医
《基本例題2.5.4》(放物線の弦の中点の軌跡の問題) 新作問題
《基本例題2.5.5》(放物線の直交接線の問題) 新作問題
《入試問題2.5.1》(難易度C) 2006年鳥取大
《入試問題2.5.2》(難易度C) 2014年慶應大/医
2.6 曲線の回転の問題
《基本例題2.6.1》(楕円の回転の問題) 新作問題
《基本例題2.6.2》(楕円の逆回転の問題) 新作問題
《基本例題2.6.1》(楕円の回転の問題) 新作問題
《基本例題2.6.2》(楕円の逆回転の問題) 新作問題
《入試問題2.6.1》(難易度C) 2013年獨協医大

第3章 2次曲線の極方程式の問題
3.1 2次曲線と極方程式の問題
●極方程式問題は出題されるか
●基本の極方程式
●2次曲線の極方程式
《基本例題3.1.1》(極方程式による2次曲線の問題) 典型問題
《基本例題3.1.2》(極方程式による線分の逆数和の問題) 新作問題
《基本例題3.1.3》(極方程式による放物線の問題) 2007年名工大
3.2 極方程式の基礎問題
《基本例題3.2.1》(極方程式と直交座標の変換問題) 1998年明星大他
《基本例題3.2.2》(極方程式による楕円の問題) 2009年徳島大/医
3.3 極方程式の応用問題
《基本例題3.3.1》(楕円の問題のさまざまな解法) 新作問題
《基本例題3.3.2》(楕円の問題のさまざまな解法) 新作問題
《基本例題3.3.3》(極方程式の直交座標への変換の問題) 2012年鹿児島大
《基本例題3.3.4》(極方程式の直交座標への変換の問題) 2004年徳島大
《入試問題3.3.1》(難易度C) 2004年熊本大理系
3.4 2次曲線の通過領域の問題
《入試問題3.4.1》(難易度D) 2006年日医大
《入試問題3.4.2》(難易度D) 2017年慶應大/医
《入試問題3.4.3》(難易度C) 新作問題
《入試問題3.4.4》(難易度D) 2014年慶應大/理工