■完全対策 N0.4 微積分の計算問題の極意
●書籍名変更予定
本書は大きく分けて「応用微積分」が複雑な大問群、「基礎微積分」が単純な小問群となっていて、基礎と応用という呼び分けが不適切なようです。たとえば積分計算の詳細は「基礎」にしかなく、区分求積法も同様です。したがって、「微積分Ⅰ」「微積分Ⅱ」とでも改名する予定です。その際には、抜けている「関数方程式・微分方程式」を微積分Ⅰの方に追加する予定です。
はじめに
●「完全対策 微積分」のシリーズ化
最近「完全対策 微積分の応用問題2017年版」を完成させましたが、同書では次の範囲の問題を取り上げました。
(1) 近似式の理論
(2) 平均値の定理
(3) 数Ⅲ微分
(4) 数Ⅲ積分と面積積分
(5) 立体の体積の積分
(6) 弧長積分
(7) 微積分不等式
(8) 媒介変数曲線
本書では、その前の段階の
(1) 極限値の計算問題
(2) 微積分の計算問題
を取り上げて、範囲ごとに、例題と入試問題を解説します。
なお、次作として、これら2作では書き切れなかった次の分野の解説書を制作します。
○関数方程式・微分方程式: 「完全対策 関数方程式・微分方程式2017年版」
○複素数平面・2次曲線: 「完全対策 複素数平面・2次曲線2017年版」販売中
●本書の内容
極限値・微積分の計算問題の分野は、微積分の基礎ではありますが、初めて見たら解けない「癖のある問題」や、一度は解いておきたい名問が数えきれないほど存在します。
「解けば何とか解ける」とか「時間をかければ解ける」などの問題もあるでしょうが、行き当たりばったりでは時間がかかり、時間不足!となる問題も多いことでしょう。
本書では、これら2つの基礎分野のキーポイントを洗い出し、分野別に分類して、例題と入試問題の2段構えで解説し、「問題を見たら解法がわかる」ことを目指します。
たとえば極限値の計算問題の場合、「ランダウの記号」が使えると答案を早く書けるようになります。「ロピタルの定理」を使えると、グラフを描く場合に極限値がすぐにわかります。
特に留意したのは「ネピアの数型極限」「微分係数型極限」「定積分極限」「べき乗型極限」の問題群です。これらは参考書に数題は掲載されていますが、入試での出題率を考えるとあまりに少ないと言えるでしょう。特に「an・nk・n!の極限の大小関係」などは改めてチェックしておきたい内容です。
次に微積分計算のうち、微分計算は比較的簡単ですが、積分計算は思いつきが必要です。しかし、思い付きに頼ると、解けるときと解けない時が出てきますし、時間もかかります。問題によっては迷路にハマります、パターンごとに解法を身に着けておけば、そんなことはありません。
・三角関数の奇数乗は1乗+偶数乗に分けて置換積分
・三角関数の偶数乗は2乗まで次数を下げて半角公式利用
・もっと便利なのはウォレス積分
ここまでは誰でも知っているでしょうが、次のものはどうでしょう。
・三角関数と指数関数の積の積分は、ペアで微分して再構成が早い
・分数関数はかならず部分分数に分解できる
・対数分数は分母が1次の場合は置換積分、2次の場合は部分積分
・分数関数の積分では分子ごとに分解する問題が多い
・積分区間の反転で非常に手っ取り早く解ける問題がある
・cos2xが分母にある場合は、tanx=tと置き換える
これらを実践的に身に着けてください。
●増補改訂しました!
当初本書は「完全対策 微積分の基礎問題2017年版」として完成させましたが、「基礎」の名前が悪影響を及ぼしたようで、あまり人気がありませんでした。計算時間の短縮がどれだけ大事か、受験生は理解していないようです。
ちょうど「応用問題編」の「中間値の定理・平均値の定理」を増補したかったのですが、「応用問題編」が300頁を超えていたことと、「関数方程式・微分方程式」の頁数があまり大きくならないことがわかったので、これらを「基礎問題編」に合併して「計算問題編2019年版」として再登場させました。
「応用問題編2019年版」の完成はあきらめ、「応用問題編2020年版」として完成させる予定です。
本書により、受験生諸君が大きな武器を手にされることを祈願します。
2019年11月
著者
目次
第1章 中間値の定理・平均値の定理
1.1 中間値の定理の問題
●中間値の定理
《入試問題1.1.1》中間値の定理の問題
《入試問題1.1.2》中間値の定理と極限の問題
《入試問題1.1.3》内分点と中間値の定理の問題
1.2 平均値の定理の問題
●ロルの定理
●微分の平均値の定理
●積分の平均値の定理
《基本例題1.2.1》平均値の定理
《入試問題1.2.1》原始関数の問題
《入試問題1.3.3》極限値を求める問題
《入試問題1.2.3》総和の極限を求める問題
《入試問題1.2.4》中間値の定理・平均値の定理の典型問題
《入試問題1.2.5》区分求積法と平均値の定理を利用する難問
第2章 極限値計算問題
2.1 極限値の計算問題の種類
●極限値の計算問題の種類と分類
●多項式分数の極限値
●ランダウの記号
《基本例題2.1.1》数列と関数の極限の基本的問題
●無理式の極限
《基本例題2.1.2》数列と関数の無理式の極限の問題
《基本例題2.1.3》ベクトルで書かれた無理式の分数の差の極限問題
2.2 三角関数・指数関数・対数関数・べき乗の極限
●三角関数の極限の唯一の公式の証明
《基本例題2.2.1》三角関数の極限の公式の問題
《基本例題2.2.2》三角関数の極限の問題
●ネピアの数 e に収束する極限
《基本例題2.2.3》ネピアの数 e に収束する極限の問題
●微分係数の定義に帰着できる極限
《基本例題2.2.4》微分係数の定義に帰着できる極限の問題
●三角関数型・ネピアの数型・微分係数型の極限の入試問題
《基本例題2.2.5》やさしい微分不等式と極限の証明問題
《入試問題2.2.1》極限の計算問題
《入試問題2.2.2》対数分数の極限の有名問題
●べき乗型の極限の入試問題
《入試問題2.2.3》べき乗型の極限の問題
●an・nk・n!の極限の大小関係
2.3 極限値計算の応用問題
●主として図形に関する極限値問題
●図形に関する極限の問題
《入試問題2.3.1》高校入試問題の極限値の問題
《入試問題2.3.2》三角関数の極限の中程度の問題
《入試問題2.3.3》三角関数の極限の中程度の問題
《入試問題2.3.4》三角関数の複雑な極限の問題
《入試問題2.3.5》三角関数の極限値の難問
《入試問題2.3.6》三角関数の極限値の難問
●距離の和・差の極限の問題
《入試問題2.3.7》区間長の総和の問題
《入試問題2.3.8》弧長差の極限の問題
《入試問題2.3.9》区間長の総和の問題
2.4 ロピタルの定理の使い方
●ロピタルの定理
《基本例題2.4.1》(グラフと極限値の計算)
《基本例題2.4.2》(ロピタルの定理を使った極限値の計算)
2.5 定積分の形をした極限問題
●定積分で表された極限値のパターン
《基本例題2.5.1》(定積分で表された極限値)
《入試問題2.5.1》定積分で表された極限値の問題
《入試問題2.5.2》定積分/xの極限値の問題
《入試問題2.5.3》定積分/x2の極限値の問題
《入試問題2.5.4》複雑な定積分の極限値の問題
《入試問題2.5.5》三角関数の定積分数列の極限値の問題
2.6 区分求積法による極限計算
●区分求積法と極限計算
●区分求積法の2つの計算法
●区分求積法と積分範囲
《基本例題2.6.1》区分求積法の問題
《入試問題2.6.1》区分求積法の問題
《入試問題2.6.2》区分求積法の複数の問題
《入試問題2.6.3》早稲田大有名問題
《入試問題2.6.4》数列の無限和の問題
《入試問題2.6.5》数列の整数部分の評価の問題
《入試問題2.6.6》ガウス記号/n2の部分和の極限の問題
●区分求積法を利用する図形問題
《入試問題2.6.7》原点から楕円までの距離の2乗逆数和の極限の問題
《入試問題2.6.8》三角形の面積和/n2の極限の問題
●区分求積法を利用する確率問題
《入試問題2.6.9》区分求積法を利用する確率問題
2.7 極限値をa、f(a)、f(a)で表す問題
《入試問題2.7.1》極限値をa、f(a)、f(a)で表す問題
《入試問題2.7.2》極限値を求める問題
2.8 右極限と左極限と微分可能性
●連続関数と微分可能な関数
《基本例題2.8.1》右極限と左極限の問題
《入試問題2.8.1》絶対値記号付き関数の微分可能性を調べる問題
《入試問題2.8.2》微分可能性と連続性と関数の積の導関数の問題
《入試問題2.8.3》微分可能性から多項式の係数を決定する問題
《入試問題2.8.4》微分可能性から多項式の係数を決定する問題
第3章 微積分計算問題
3.1 微積分の基本公式
●微積分の公式
《基本例題3.1.1》(微分公式の証明)
●定義にしたがう導関数の導出
《基本例題3.1.2》(微分公式の証明)
《基本例題3.1.3》(微分公式の証明)
●対数微分を利用する問題
《基本例題3.1.4》(対数微分の利用)
《入試問題3.1.1》対数微分の問題
《入試問題3.1.2》対数微分を繰り返す問題
《入試問題3.1.3》不等式の証明に対数微分を利用する問題
《入試問題3.1.4》曲線の接線が両軸とつくる三角形の面積の問題
●積分形関数の微分の問題
《入試問題3.1.5》積分形関数の微分の問題の問題
3.2 逆関数の微積分
《基本例題3.2.1》(tanの逆関数の導関数の問題)
《入試問題3.2.1》関数とその逆関数が囲む領域の面積の問題
《入試問題3.2.2》3次関数の面積・逆関数と回転体の体積の問題
《入試問題3.2.3》三角関数の逆関数と極限計算の問題
《入試問題3.2.4》三角関数の逆関数の総合問題
《入試問題3.2.5》三角関数の逆関数の微積分の総合問題
《入試問題3.2.6》対数関数の逆関数の総合問題
3.3 部分積分
●積分が微分より難しい理由
●積の微分と部分積分
《基本例題3.3.1》(基本的な部分積分の問題)
《基本例題3.3.2》(部分積分の問題)
《入試問題3.3.1》部分積分で解く問題その1
《入試問題3.3.2》部分積分で解く問題その2
《入試問題3.3.3》部分積分についての難問
3.4 置換積分と合成関数の積分
●置換積分と合成関数の積分の比較
《基本例題3.4.1》(置換積分の問題)
《基本例題3.4.2》(置換積分の問題)
《基本例題3.4.3》(1/x2±1の無理関数の置換積分の定積分の問題)
《基本例題3.4.4》(置換積分の定積分の問題)
●置換積分の入試問題
《入試問題3.4.1》京大恒例の積分計算問題その1
《入試問題3.4.2》京大恒例の積分計算問題その2
《入試問題3.4.3》京大恒例の積分計算問題その3
《入試問題3.4.4》東大の歴史上初めての積分計算問題
3.5 三角関数の積分
●三角関数の1乗・2乗・3乗や積の積分
《基本例題3.5.1》(sin-1x、cos-1xの不定積分)
《基本例題3.5.2》(三角関数の2乗の不定積分)
《基本例題3.5.3》(三角関数の3乗の不定積分)
《基本例題3.5.4》(三角関数の積の不定積分)
●三角関数の4乗の積分
《基本例題3.5.5》(三角関数の4乗の不定積分)
●三角関数と指数関数の積の積分
《基本例題3.5.6》(三角関数と指数関数の積の不定積分)
●三角関数の入試問題
《入試問題3.5.1》京大恒例の積分計算問題その4
《入試問題3.5.2》三角関数の積分の総合問題
3.6 ウォリス積分
●sinnx、cosnxやtannxの積分
《基本例題3.6.1》(三角関数の不定積分の漸化式)
《入試問題3.6.1》ウォリス積分の類題
《入試問題3.6.2》ウォリス積分の応用問題
3.7 分数関数の積分
●分数関数の積分のパターン
●分母が2次式の分数関数の積分
《基本例題3.7.1》(分数関数の不定積分)
《入試問題3.7.1》部分分数分解するプロセスを問う問題
3.8 対数分数関数の積分
●対数分数関数の積分の手法
《基本例題3.8.1》(対数分数関数の不定積分)
《入試問題3.8.1》対数分数関数の定積分の問題
《入試問題3.8.2》対数分数関数の定積分の極限の問題
3.9 少し難しい積分計算入試問題
《入試問題3.9.1》積分区間を反転して計算する問題その1
《入試問題3.9.2》積分区間を反転して計算する問題その2
《入試問題3.9.3》少し難しい定積分計算問題群
《入試問題3.9.4》少し難しい定積分と極限の問題その1
《入試問題3.9.5》少し難しい定積分と極限の問題その2
《入試問題3.9.6》絶対値記号付きの置換積分問題
第4章 関数方程式・微分方程式
4.1 多項式関数の関数方程式
●関数方程式と微分方程式
《入試問題4.1.1》多項式の関数方程式の問題
《入試問題4.1.2》多項式の関数方程式の問題
《入試問題4.1.3》多項式の関数方程式の問題
《入試問題4.1.4》積分から関数形を求めて解く問題
《入試問題4.1.5》積分から関数形を求めて解く問題
《入試問題4.1.6》多項式の関数方程式の変形問題
《入試問題4.1.7》多項式の関数方程式の問題
《入試問題4.1.8》多項式の関数方程式の問題
《入試問題4.1.9》関数方程式と数列の極限の融合問題
4.2 多項式関数以外の関数方程式
●関数方程式の解法:積分変数の変換
《入試問題4.2.1》微分多用の関数方程式の問題
《入試問題4.2.2》双曲線関数を含む関数方程式の問題
《入試問題4.2.3》変数変換が必要な関数方程式と極限値の問題
《入試問題4.2.4》逆関数の関数方程式の問題
《入試問題4.2.5》変数変換が必要な関数方程式の難問
4.3 微分係数から解く関数方程式
●微分係数から解く関数方程式の解法
《基本例題4.3.1》(微分係数から解く関数方程式)
《入試問題4.3.1》微分係数から解く関数方程式の問題
4.4 変数分離形の微分方程式
●変数分離形の微分方程式の解法
《基本例題4.4.1》微分方程式の問題(2011年横浜市大/医)
●微分方程式の入試問題
《入試問題4.4.1》微分方程式の問題
《入試問題4.4.2》微分方程式の問題
《入試問題4.4.3》関数方程式から変数分離形を積分する問題
《入試問題4.4.4》対数微分か積の微分を使う微分方程式の問題
《入試問題4.4.5》微分方程式の難しい問題
《入試問題4.4.6》関数方程式の難しい問題
●微分方程式の応用問題
《入試問題4.4.7》放物線形容器内の水に関する微分方程式の問題
《入試問題4.4.8》円錐形容器内の水に関する微分方程式の問題
《入試問題4.4.9》微分方程式と指数・対数の問題