●2017年版東大・京大・一橋大の文系数学入試問題解説書（2012年-2017年）

はじめに
本書は、東大・京大・一橋大の３大学の文系入試で出題された、直近５年分の数学入試問題を解き、分野別に整理し直し、分野ごとには難易度順に配列し直した、文系入試対策としては最強の入試対策書籍です。さらに、今後出題されそうな入試問題を、理系入試・医大入試などからも選んで追加しました。つまり、この1冊を学習すれば合格できる対策書、として編集したものです。
本書に収録した問題数は次のようになっています。
一橋大 26題
京大文系 25題
東大文科 20題
その他予想問題 30題
合計 101題
問題の解法には色々種類がありますが、主として、試験場で思いついて書くことができる、泥臭い解法を書きました。図版満載の上、計算過程もできるだけ端折らずに書いてあるので、かなり読みやすいでしょう。その上で複数の解法が考えられる場合には、すべての解法を書きました。本書における記述方針と、難易度・新奇度・計算量の評価の基準は次項に示しました。
また、穴埋め式の問題では、読むだけではどんな問題か把握しにくいので、本書ではこれを記述式の問題に書き直して、斜め読みでも問題が理解できるようにしてあります（これを本書では「改題」と呼びます）。
●３大学文系入試問題の難易度
今年の東大の数学入試問題は、難易度が大きく下がり、本書の評価でいうと、例年必ずあったD評価（かなりの難問）が皆無なので、相当数の満点合格者がいるものと考えられます。
この理由は、東大が女子学生比率を2020年までに30％にするとの目標を掲げているため、「数学が苦手な女子生徒が入学しやすいようにしたのでは」との声もあります。
しかし、合格者に占める女子比率は、わずか0.9ポイントであり、女子生徒増を狙ったものであったとても、効果が大きかったとは言えないので、今後継続するかどうかはわかりません。
しかし今年は３大学ともに、難問といえる問題は出題されず、本書でいうならBCレベルの問題ばかりでした。もともとDEレベル（難問・超難問）への対策というものはあまり意味がなく、あるとすればCレベルの問題へ立ち向かう際に、どれだけ自分をトレーニングできるかということにつきます。したがって本書では、DEレベル問題は2013年～２０１７年に実際に出題された問題に限っています。
●３大学文系入試問題の出題傾向
これらの大学では、確率・確率漸化式の問題とベクトル・文系微積分の問題はすべてクリアした上で、整数問題の成否が合格を決めるというのが毎年の傾向です。
その中で特に京大の場合には、2010年に「立方体を斜めに回転した回転体の体積」の問題がありましたが、これは７年間出題されていないので、今回は外しました。
本書に収録する問題を選ぶうえで困ったのは、「場合の数だけの問題」「ユークリッドの互除法の問題」「4次関数の微積分」の問題が、過去５年間皆無であったということです。これらの分野の問題は、理系入試・医大入試の問題から補充しました。
「場合の数だけの問題」は、多くは確立の問題として出題されてしまうのですが、「ユークリッドの互除法の問題」と「4次関数の微積分」は避けて通れません。「ユークリッドの互除法の問題」の出題年は2015年～2017年の3年間しかないので、これから出題されると考えられます。「4次関数の微積分」もこれからでしょう。学習指導要領の改訂によって、文系微積分では、何のためらいもなく4次関数が出題できることになっています。
本書が東大理科合格の一助となれば幸甚です。本書がクリアできたら、最後に「完全対策 難関大・医大の整数問題」に挑戦されることをお勧めします。
2017年8月

目次
第１章　数Ⅰ
数と式
●多項式を決定する問題
●複次式の不等式の成立条件の問題
●３次式が２次式で割り切れる難問
図形と計量
余弦定理の問題
●余弦定理を使って解く鋭角三角形の問題
●余弦定理と２次方程式を使って解く問題
●三角形の重心を内積で調べる問題
空間図形の計量
●表面積最小の直円錐の問題
●体積一定で表面積最小の直円柱の問題
●直交する円周間距離の最小値・最大値の問題

第2章　数A
場合の数の問題
●場合の数の問題
●同じものを含む順列の問題
●数え上げと組合せの問題
●公式が使えない場合の数の難しい問題
確率の問題
ゲームの確率の問題
●さいころをn回投げた目の差の確率の問題
●くじをひく回数の問題
●コインゲームの勝率の問題
格子点上の移動の確率の問題
●格子の上を移動する確率の問題
●対称移動確率の問題
●格子点上の移動の確率の問題
数学的な確率の問題
●正三角形の辺上の移動の確率の問題
●多角形上の平行直線の確率の問題
●割り切れる確率の問題
条件付き確率の問題
●3色のメダルの条件付き確率の問題
●確率数列と条件付き確率の問題
期待値の問題
●マス目を数えれば解ける期待値の問題
ユークリッドの互除法の問題
●ユークリッドの互除法を使って解く問題…その１
●ユークリッドの互除法を使って解く問題…その2
●ユークリッドの互除法を使って解く問題…その3
●ユークリッドの互除法と図形と方程式の融合問題
●ユークリッドの互除法か不等式を使う整数問題
●ユークリッドの互除法を利用する基本問題
整数問題
整数計算問題
●積＝和の不定方程式を解く問題
●因数分解と素因数分解で解く問題
●２次式・3次式の整数問題
●分数和の不定方程式を解く問題
●2次対称型の不定方程式を解く問題
●3次対称型の不定方程式を解く問題
記数法の問題
●記数法の問題
●10進数の1の位の問題
●複数の記数法の問題
●記数法の問題
●桁数の問題
記数法の問題
●倍数の数の問題
●三角関数の整数問題
●組合せ記号を偶数にする整数の問題
素数に関する問題
●条件を満たす素数を求める問題
●２以外の素数は奇数と３の剰余類を利用する問題
●整数nとの最大公約数が1の整数の個数の問題
●3のn乗の整数数列の問題
数式の割り算の問題
●「隣り合う整数は互いに素」で証明する割り算の問題
●数列を使って証明する割り算の問題
●割り算と自然数列と「鳩の巣原理」の応用問題

第3章　数Ⅱ
高次方程式
●３次方程式を決定する問題
●４次方程式の複素数解の問題
三角関数
●角度不明で解く三角関数の問題
●tanと相加平均≧相乗平均を利用する問題
●三角不等式の問題
●単位円上の回転移動の問題
●半端な角度で三角形の面積を最大化する問題
●三角関数多項式の最小値の問題
●tan加法定理を利用する図形問題
対数関数
●対数式の最大最小の問題
●対数不等式の問題
図形と方程式
放物線に関する問題
●２つの放物線の共通接線の問題
●放物線と放物線に中心がある円上の点の距離の問題
●放物線・双曲線に関わる定長問題
●２次関数と２直線が囲む面積の問題
三角形・四角形に関する問題
●三角形の面積を最大化する問題
●放物線上の二等辺三角形の重心の軌跡の問題
●平行四辺形の面積を最大化する問題
●絶対値記号付きの図形の面積を求める問題
直線・曲線の通過領域の問題
●放物線の通過領域の問題
●線分の通過領域を求める問題
●非線形計画法の問題
文系微積分
2次関数の微積分
●２変数関数の最小値の問題
●放物線と1次関数が囲む面積の問題
●２次関数と接線・x軸・直線が囲む面積の問題
●２つの放物線が囲む領域の面積の問題
●２つの放物線が囲む領域の面積比の問題
●円と放物線が囲む面積の問題
●２つの放物線が囲む領域の面積の問題
３次関数の微積分
●３次関数の最大値の問題
●3次関数と接線が囲む面積の問題
●３次関数と円が囲む面積の問題
●3次関数と直線が囲む面積の最小値の問題
●絶対値記号付き３次関数の最小値の問題
●3次関数と接線が囲む面積の問題
●３次関数と直線の交点の問題
●３次の対称式の値域を調べる問題
4次関数の微積分
●4次関数と2次関数が囲む領域の面積の問題
●4次関数の最大値・最小値の問題
●3次・4次関数の対称性の問題
●4次関数の係数決定の問題

第4章　数B
数列問題
●自然数と三角関数の数列の問題
●自然数の２乗と2のべき乗の積和の問題
●自然数列の問題
●小数部分の数列の問題
漸化式
●漸化式と桁数の問題
●誘導のない３項間漸化式の問題
●特性値では解けない３項間漸化式の問題
●3項間分数漸化式の問題
●一般形の２項間分数漸化式の問題
●多項式型の３項間漸化式の問題
●3項間漸化式の問題
確率漸化式
ゲーム確率の問題
●硬貨を投げる連立確率漸化式の問題
●文字を並べる確率漸化式の問題
●2つの確率漸化式で解く問題
●確率漸化式で解く問題
格子点上を移動する確率の問題
●確率漸化式を作って解く数直線上の移動の問題
●3つの確率漸化式で解く格子点上の移動の問題
その他の確率漸化式の問題
●連立確率漸化式を作って解く問題
平面ベクトル
●ベクトル方程式を複数回利用する問題
●ベクトルの内積で定義した図形の問題
●ベクトルの内分点の通過領域の問題
●直角三角形内の点の位置の問題
●ベクトルの大きさの比の値域の問題
●ベクトル間の角度の問題
空間ベクトル
四面体の問題
●正四面体内のベクトルの内積の問題
●四面体の高さと体積の問題
●正四面体のベクトル問題
●四面体の体積や断面積の問題
●正四面体の証明問題
四面体以外の問題
●ねじれの位置にある2直線上の正三角形の問題
●ねじれの位置にある空間ベクトルの垂線の問題
●直線方程式とベクトルの内積の問題
●空間ベクトルを使って領域を示す問題
●ベクトルの内積で定義した球の問題
●空間ベクトルと基本対称式の問題
●斜めにおいた立方体の問題