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[6] 約数の数と合計の問題

約数の問題は大きく分けて「個数や総和の計算問題」、「その他の約数の問題」と「完全数の問題」に分類されます。

約数の個数や総和の問題
次に示す個数や総和の公式は入試には必須です。逆に考えれば、これらの公式さえ使いこなせれば、約数の問題は非常にやさしいということになります。

[例題]
[A]約数の総和の計算問題(2017年東海大/医113)

[入試問題]

[A]約数の個数と総和の問題(2024年北大文系1)

[B]約数の個数の最大値の問題(2006年東京理科大/理工1)

[B]約数の積を求める問題(2011年早大/商12

[B]整数解と約数の個数の問題(2012年一橋大1)

[B]因数2の個数を比較する問題(2015年東大理科5)

[B]自然数の正の約数の個数の問題(2019年横浜市大/医11)

[C]正2016角形の頂点で構成される正多角形の数の問題(2019年早大/商13)

[C]約数の数から整数を求める問題(2008年早大/商13)

[C]約数の数などから整数を求める問題(2017年東工大1)

[C]剰余類と約数の総和の応用問題(2010年広島大/理系5)

[D]約数の個数の難問(2018年横浜市大/医3)

[参考問題]
[D]約数の総和についての証明問題(2002年九大理系2)


■完全数、不足数、過剰数、友愛数の問題
これらの数は、「博士の愛した数式」という書籍で紹介されている「特別な整数」なのですが、実は入試にもよく出題されています。初めて見るとそれらの問題はかなり難問に見えるので、その内容をここで紹介します(詳細は、弊著「数学再入門」ご参照ください)。

●完全数、過剰数、不足数とは何か
完全数、過剰数、不足数は次のように定義されます。
自分自身を除いた約数の合計が、
○自分自身と等しい自然数: 完全数
○自分自身より大きい自然数 : 過剰数
○自分自身より小さい自然数 : 不足数
実例を右に示します。完全数nとその約数の合計s(n)の関係は「s(n)-n=n」または「s(n)=2n」のように記述されます。
●100までの自然数の分類
100までの自然数を分類すると、次のようになります。完全数にはものすごい希少価値があることがわかります。
○過剰数: 22個(約数の和の最大値は96の約数の和の156)
○完全数: 2個(6と28のみ)
○不足数: 76個(そのうち素数は25個)

●完全数とメルセンヌ素数
完全数は2014年時点で48個が見つかっており、これらはすべて偶数であり、末尾はすべて6か8です。これらの完全数は「メルセンヌ素数」と呼ばれる、素数をpとして「 (2^p)-1」で表される「特別な素数」と1対1に対応しています。つまり、メルセンヌ素数に対応する数は完全数であり、全ての偶数の完全数がメルセンヌ素数に対応しています。
「偶数の完全数が無数に存在するか」「奇数の完全数は存在するか」「末尾が6か8以外の完全数は存在するか」という問題は未解決だそうです。

●友愛数は2つの自然数の組
完全数などは1つの自然数の話ですが、友愛数(親和数)は「自分自身を除いた約数の合計」が、互いに相手と等しい「2つの自然数の組」です。一番小さな友愛数の組は(220、284)です。これは完全数2つ分以上の希少価値があります。友愛数の他に「婚約数」(準友愛数)というものもあり、これは「1と自分自身を除いた約数の合計」が、互いに相手と等しい2つの自然数の組です。一番小さな婚約数の組は(48、75)です。

[入試問題]
[B]完全数についての計算・証明問題(2000年佐賀大後期2)

[C]完全数の類題(2016年東京医科歯科大1)

[D]完全数についての証明問題(2007年千葉大後期)

他に、1986年群馬大、2017年佐賀大などに出題があります。