■整数問題は13パターン
「整数問題」は一種の総合問題であり、方程式、整数の性質、2項定理、数学的帰納法など、さまざまな分野の知識を総動員する問題です。旧学習指導要領では整数問題の記述は皆無で「新記号問題」としてよく出題されましたが、最新の学習指導要領で初めて整数問題が正式に扱われることになりました。しかし以降も、定型的な解法の考え付きにくい問題です。整数問題の面倒な点は「どの方法を使えばよいのかわかりにくい」という点です。だからこそ、公式一辺倒では解けない問題を出してくるわけです。しかし整数にも次のような特徴があり、これらを利用できる問題は解き易い問題です。
- 最低限1つおきのとびとびの値をとる
- 素因数の積に分解できる⇒約数・倍数の関係を利用する
- 余りで分類できる
整数問題も、実はパターンを理解すれば、数列・級数問題と同様に対策可能な問題群です。
整数問題は次の13種のパターンに分類できるのです。
[1]不定方程式や不等式の問題
本来は解けない問題を、整数という条件を適用して因数分解・素因数分解などを利用して解く問題です。もっとも代表的な整数問題といえます。
[例題]
[2]ユークリッドの互除法と2元1次不定方程式
最新の学習指導要領の導入以前はまったく出題がなかったのですが、導入後は毎年出題されています。ユークリッドの互除法の原理とその整数1次不定方程式の原理を利用して解きます。かなり広い範囲の応用が利く方法論です。
[例題]
[3]桁ごとの数を未知数とおいて求める問題(n進数)
各桁の数を1桁の未知数とおいて、不定方程式の手法を使って解く問題です。多くは計算問題となって解きやすくなります。これは、いわゆる10進法表記と等価であり、n進法にもつながります。
[例題]
[B]3のべき乗の10進数における1の位の数の問題(2002年関西大)
[4]剰余類・合同式を利用して解く
2、3、6などの整数で割った余りによって整数をグループ化し、この手法によって解く問題です。この「割り算」が問題文に見えなくとも、この手法が適用できる問題が数多くあるので、困ったら適用してみるのが得策です。複数の自然巣が同じ剰余類に属することを表すのが合同式です。
[例題]
[5]約数の数と合計の問題
約数の数と総計の計算は公式を利用します。計算できるなら整数問題を解くのは容易です。
[例題]
[A]約数の個数・平均についての問題(2016年慶應理工11)
約数に関しては個数と総和を計算できますが、平均は総和を個数で割って得られます。
[6]新記号問題としての整数問題
ガウス記号などの新記号問題は既習の数学とどう関係づけるかが課題です。
[例題]
3つの方程式を示します。ガウス記号をあつかう際には、頭の中で、あるいは実際に、グラフを書いた方が安全です。[ ]=kの場合はそのまま分解し、[ ]=[ ]の場合は=kとおいて解くのが定石です。
[7]約数・倍数・素数の総合問題
約数・倍数・素数の性質を使って解く整数問題もあります。
[例題]
[B]因数分解して素数を求める問題(2001年千葉大後期)
[B]最大公約数と最小公倍数の例題
[B]素数に関する例題
[8]隣り合う整数は「互いに素」の定理を使う
このあたりから、証明が難しい問題が多いので厄介です。
[例題]
[9]整数係数多項式の問題
この種の問題は、整数問題の中の大きな分野です。整数多項式の割り算の問題は、整数問題の中で特に大きな分野です。
[例題]
[B]5次式の割り算の問題(2014年自治医大11)
[10]数学的帰納法・背理法を使って証明する
正面切って解けない整数nの絡んだ問題はこれで解きます。有理数・無理数の問題nなど、整数nが出てこない問題は背理法を使って証明します。
[例題]
数学的帰納法の例題
背理法の例題
[11]有理数・無理数の問題
有理数は分母分子が既約の整数である分数で表されるものです。
[例題]
[B]素数の平方根が無理数であることの証明
[12] 二項定理・多項定理
定理に慣れていないと添え字が複雑なので解きにくい問題です。組合せ記号を使う整数問題は頻出です。
[例題]
[13]整数・自然数の不定方程式の解の数の問題
合計がnとなるr個の整数・自然数の不定方程式の解の数は重複組み合わせの公式に従います。
[例題]
簡単な例題作成中
●他の分野との融合問題
整数問題と融合されるのは、同じく整数をあつかう「二項定理」「数列・漸化式」「確率」などの問題です。
●整数数列の問題
数列を使い、添え字の大きな数を出して解かせる問題です.
[例題]
簡単な例題作成中