■大学入試に出題された近似の問題
大学入試に出題された近似の問題には、次の4つの種類があります。
1. x軸上のある値(あるいは原点)の近くのマクローリン展開を利用する問題
- テーラー展開(x軸上のある値の近くの展開式)
- マクローリン展開(原点の近くの展開式)
2. ベルヌーイの不等式は、直線近似の延長にあります。
3. 曲線の直線近似より精度の高い近似が曲率半径を持つ曲率円による近似です。
4. ニュートン近似では接線とx軸との交点を順に求め曲線とx軸との交点座標を求めます。
1. テーラー展開とマクローリン展開
詳細はテーラー展開とマクローリン展開を参照してください。
[入試問題]
[B]近似式の計算と証明(2015年横浜市大/医3)
[B]平方根の近似計算の問題(2014順天堂大/医12)
[B]5乗根に関する不等式の問題(2002年名大/経済1)
[C]マクローリン展開を利用できる整数不等式の問題(2013年東京医科大22)
2. ベルヌーイの不等式
y=e^xのx=0における接線y=x+1を考えると、x=0の点以外ではx+1<e^xの不等式が成立します。同時にx=0の近辺では、y=e^xをy=x+1で近似することが可能です。指数曲線を1次関数で近似できれば非常に便利です。
詳細をベルヌーイの不等式に示します。
この不等式は、次の問題でも実質的に利用されています。
[B]微分不等式・微分不等式の融合問題(2010年横浜市大/医)
[B]微分不等式の問題(2006年筑波大/医他)
3. 曲率円による近似
前項のベルヌーイの近似は1次式での近似なのですが、この曲率円での近似は1次式よりは精度の高い近似になります。曲率円自体は高校数学の範囲にはないのですが、難関大では本問のように説明付きで出題されることがあります。
[B]曲率中心の軌跡の長さの計算問題(2012年順天堂大/医15)
4. ニュートン近似
この種の問題は、数列の問題の一種として登場するわけですが、背景を理解していれば、気楽にこなせるでしょう。
[入試問題]
[B]ニュートン法の有名問題
[B]ニュートン法の問題(2008年九大文系4)
[C]ニュートン法の問題(1997年九大理系53)
[B]ニュートン法の問題(2012年早稲田大/教育3)
[C]ニュートン法の問題(2010年東工大2)