ベクトル問題は次の7つの分野に分割できます。このことからも、「ベクトル方程式」の重要性や、空間ベクトル問題の大きな傾向がつかめます。
●ベクトルの特徴
ベクトルのしっかりとした理解のために、ベクトルとは何かを最初に述べておきます。ベクトルとは2つまたは3つの数値の組に対して定義された数学の1つであり、2つの数値の組は平面座標に、3つの数値の組は空間座標に対応させることができます。当面、平面ベクトルについて述べると、平面ベクトルの2つの数値は、2つの座標軸における「座標の差」(成分)を表します。これを変位と見ることで、ベクトルが位置を表すことになります。
平面ベクトルの2つの数値を決定するには2つの方程式が、空間ベクトルの3つの数値を決定するには3つの方程式が必要です。
ベクトルの成分が等しい2つのベクトルは同一なので、「ベクトルは始点によらない」ことになります。また、ベクトルの和や差を考えるときには2つの座標軸のなす角度は自由なので、ベクトルの法則は直交座標系(下左図)でも斜交座標系(下右図)でも同様に成立します(大きさや内積は、斜交座標系では少し計算式が変わりますが、詳細は省きます)。「ベクトルは始点によらない」ために、下左図の2つのベクトルaは始点が異なっても同じベクトルです。

●ベクトル図形問題の特徴
ベクトルが入試問題で有利なのは次の2点です。
- 内積を通して角度があつかえる(よく知られた角度の場合は便利)
- 線分上や平面上の内分点・外分点があつかいやすい。
- 平面座標の場合は「同一直線上」、空間座標の場合は「同一平面上」の扱いが簡単になる
●ベクトルによる平面と空間の構成
ベクトルでは、線分上や平面上の内分点・外分点があつかいやすく、その結果、線分や平面は「ベクトルの一次結合」で表すことができます。「ベクトルの一次結合」とは、2つ以上のベクトルのスカラー倍(定数倍)どうしの和として表されるベクトルのことです。
線分や平面は次のように表すことができます。
- 直線上のベクトルは1つのベクトルのスカラー倍(定数倍)で表すことができる
- 平面上のベクトルは一次独立な2つのベクトルの一次結合で表すことができる
- 空間内のベクトルは一次独立な3つのベクトルの一次結合で表すことができる

逆に、それらの平面ベクトル・空間ベクトルが0ベクトルの場合は、それらを構成する一次独立なベクトルの係数がすべて0になります。これは、入試問題でよく使われるテクニックです。「ベクトルが一次独立である」とは、一方のベクトルが他方のベクトルで表すことができないということです。これを数学的に表現すると、上のようになります。
直線上のベクトルは、どれも他のベクトルのスカラー倍(定数倍)として表すことができるので、すべて一次独立ではなく、これを「一次従属」と言います。
このような一次独立なベクトルの組を「基本ベクトル」と呼びます。平面上や空間内では座標軸上のベクトルを基本ベクトルとして採用することができます。この場合、座標軸上の単位ベクトルを基本ベクトルとして採用すると、そのベクトルの成分は座標と一致します。座標軸上のベクトル以外のベクトルを採用するということは、上述の斜交座標系に相当します。
●ベクトル方程式
ベクトル方程式とは、「ベクトルの性質や条件を使って、直線や円などの図形を表した式」のことです。直線、円、三角形などを表すのには便利なのですが、もっと多様な図形を表すには不便なので、その場合には直交座標系を併用します。まずは直線と線分です。

●ベクトルの平行と垂直・ベクトルの大きさ
ベクトルは始点によらないので、平行なベクトルは互いに定数倍のベクトルです。2つのベクトルがなす角度は内積を計算して求めます。内積が0の場合は直交しています。まずはベクトルの大きさ、これは成分の平方和の平方根であり、成分の平方和は自身の内積でもあります。内積とは2つのベクトルの成分の積和ですが、この計算式は2つあって、もう一方は、2つのベクトルの大きさの積とベクトルが挟む角度の余弦の積であって、これらからベクトルが挟む角度の余弦を数値で計算できます。
