●「完璧な準備」が可能な分野
「数列と漸化式」は、入試問題ではもっとも出題頻度の高い分野の1つです。ほぼ半数の問題には、主題または副題として登場しますが、この分野は実は「完璧な準備」が可能です。この分野にエネルギーを集中すれば、最小の努力で、入試における「得意分野」ができあがります。
特に重要なのは「漸化式」です。この分野は大きく10のパターンに分けることができ、これらは等比数列・等差数列・階差数列などに帰着できます。多くは2項間漸化式・3項間漸化式・分数漸化式の「特性方程式」を利用しますが、この方程式から得られる特性解との差が等比数列や等差数列になります。本書の中心は「漸化式の10種パターンの完全対策」です。これらを基礎にして、さまざまなテクニックを身に着けて、数列と漸化式を得意分野にしてください。
数列は、図形と方程式や複素数平面と組み合わせた融合問題に登場するほか、三角関数や微積分、確率などと組み合わせて出題されます。図形や確率と組み合わされた場合には、漸化式は自分で作らなければならないことが頻繁に生じます。いつも誘導に頼っていては、漸化式の解法が武器にはなりません。
たとえ漸化式の問題で誘導を利用しても、その根底に横たわる理論は自分のものにしておかないと、漸化式を自分で作って解くことはできません。
なお本書では、数Bのみならず、数A・数Ⅱ・数Ⅲのすべての分野で登場する数列と漸化式の問題を一括してあつかいます。普通レベル(Bレベル)と上級レベル(Cレベル)の入試問題を中心として収録し、その前段階には数多くの基本例題を収録しました。
●第1章「数列の問題」
次章の「漸化式の10種パターンの完全対策」の準備をかねて、数列の基礎的事項と数列単独での入試問題を紹介します。中レベルの問題から難問までの良問を選んであります。教科書では例題が不足する群数列も強化してあります。
●第2章「漸化式10種パターンの完全対策」
いよいよ漸化式のパターンを解説します。この章の特長は、漸化式の10種パターンのために用意した12の「基本例題」です。これらは、係数をできるだけ簡単にした漸化式を解いたものです。これらの基本例題をマスターして「解法を瞬時に見つけ出す」ことができるようにしてください。3項間漸化式の後には、その一種である「フィボナッチ数列」の問題をまとめて示しました。これは最近頻出の問題群であり、一度は解いておかないといけない問題です。
●第3章「数列・漸化式の応用問題」
「漸化式の10種パターンの完全対策」の最初の応用問題群です。部分和から一般項を求める問題や連立漸化式、センター試験の融合問題など、数列と漸化式を組み合わせた、数列以外の分野には踏み出さない分野の入試問題群を取り上げました。
●第4章「数列・級数の極限値の問題」
数列の極限に関する例題や入試問題群を取り上げました。入試問題では、数列を求めてその極限を問う応用問題が頻繁に出題されます。これで数列・漸化式の問題の道具立てがそろいました。区分求積法やはさみうちの原理など、難問満載です。次の第5章と第6章が「漸化式の10種パターン」の本格的な応用問題です。
●第5章「三角関数と微積分の漸化式」
三角関数や積分についてすでに確立されている数学に登場する数列・漸化式の問題を取り上げました。チェビシェフの多項式は典型的な三角関数の漸化式です。
●第6章「数列・漸化式の融合問題」
数列と漸化式を組み込んだ図形や確率の融合問題を取り上げました。この章の問題の特徴は「漸化式を自分で作らなければならない」という点です。
前半の図形や複素数の問題は比較的やさしい問題なのですが、後半の確率数列や確率漸化式の問題は、入試問題の中でも難問揃いの厄介な分野です。東大・京大・一橋大・東工大・慶応大/医の受験生は、これらの問題を繰り返し解いて、どんな漸化式も自分で作れるようにしておくことが必要です。
本書により、受験生諸君が1つの大きな武器を手にされることを祈願します。