No.1 整数問題 はじめに

●整数問題は12種のパターンに分類できる
「整数問題」を苦手とする受験生諸君は多いと思うのですが、その原因は「どの方法を使えばよいのかわかりにくい」という点です。公式一辺倒では解けない問題が出題されます。

  • 計算して解ける整数問題…これは簡単な部類の問題に属します。
  • 証明が面倒な問題…一般的には手ごわい問題が多いようです。
  • 他の分野との複合問題…これにはさまざまな難易度の問題があります。

特に、計算して解ける整数問題はやさしい問題です。この種の問題は、取りこぼさないで得点する必要があります。このような分類を元にして本書では、整数問題を次のように「12のパターン」に分類しました。

●計算で解ける整数問題
前半の6つのパターンは計算で解ける整数問題です。
[1] 不定方程式や不等式の問題(第1章)
本来は解けない問題を、整数という条件を適用して解く問題です。もっとも代表的なものといえましょう。それぞれの場合に対して、やはりかならずパターンやテクニックがあります。場合によっては組み合わせることもあります。これで解けない問題は少しむずかしくなります。
[2] ユークリッド互除法と2元1次の不定方程式の問題(第2章)
数Aに登場したユークリッド互除法を使う問題も今後頻出でしょう。これらは第1章にまとめます。
方程式・不等式以外、「約数の数と合計」の問題以外の計算可能な問題は、おおむね第3章にまとめました。

[3] 桁ごとの数を未知数とおいて求める(第3章)
各桁の数を求める問題ですが、多くは計算問題であり、解きやすい問題です。

[4] 剰余類を利用して解く(第3章)
計算できるなら証明は容易です。剰余類はその最大の武器です。
[5] 新記号問題としての整数問題(第3章)
ガウス記号などの新記号問題は、既習の数学とどう関係づけるかが課題です。
約数・倍数の問題は、「約数の数と合計」の問題を含めて第4章に、素数の問題は第5章にまとめました。
[6] 約数の数と合計の問題(第4章)
計算できるなら証明は容易です。約数の数と総計の計算は公式を利用します。改訂に際し、第4章に「n進数」の節を追加しました。
[7] 階乗に含まれる素数の数の問題(第5章)
ルジャンドルの問題以外の素数問題は、計算問題にはならず、結構手ごわい問題になります。

●証明が必要な整数問題
一部計算問題もありますが、後半の6つのパターンの多くは普通の論証や数学的帰納法や背理法などを利用して解く、若干むずかしい問題です。約数・倍数は第4勝、素数は第5章、それら以外の証明問題は第6章にまとめました。
[8] 約数・倍数・素数の総合問題(第4章・第5章)
約数・倍数・素数の性質を使って解く問題もあります。
[9] 「隣り合う整数は互いに素」の定理を使う(第6章)
証明問題が多く、結構厄介な問題です。
[10] 多項式の整数性や割り算などの問題(第6章)
多項式の整数性・複素数解に関する問題や多項式の割り算に関する問題は、整数問題の中の大きな分野です。
[11] 数学的帰納法を使って証明する(第4章)
正面切って解けない問題や、整数nの絡んだ問題はこれで解ける場合があります。
[12] 背理法を使って証明する問題(第4章)
有理数・無理数の問題など、整数nが出てこない証明問題の大半は背理法を使って証明します。

●二項係数・組合せ記号や二項定理・多項定理にかかわる問題(番外編)
 整数問題と融合された二項係数・組合せ記号や二項定理・多項定理にかかわる問題も多く、これらの問題は、上の12パターンが使いこなせれば、そうむずかしい問題ではありません。これらの問題を第7章にまとめます。


●本書の内容と難易度
 本書では、数Aのみならず、すべての分野で登場する整数問題を一括してあつかいます。また本書は、「すべての入試問題」を収録する「完全対策シリーズ」に属するもので、「難問」は特に詳しく解説しています。ただし、余りにも難問で、再度の類題の出題がなかなか考えられない問題は割愛しています。円周率の無理数性の証明だけは超難問も収録しています。

●本書の構成
 したがって本書の構成は次のようになります。
○第1章: 因数分解・判別式不等式で解く整数問題
もっとも解きやすい、整数方程式や整数不等式の問題の解法を解説します。座標空間で考えるなら、x座標やy座標が整数の格子点について考える、計算で解ける整数問題です。
○第2章: ユークリッドの互除法で解く整数問題
ユークリッドの互除法で解く整数問題だけを第1章から分離独立させました。
○第3章: 計算で解けるさまざまな整数問題
桁ごとの数を未知数とおいて求める問題、 剰余類を利用して解く問題やガウス記号問題の解法を解説します。これらも計算で解ける整数問題であり、多くは証明問題よりやさしい問題です。
○第4章: 約数と倍数の問題
約数・倍数・素数の総合問題など、ほぼ計算で解ける問題をまとめました。
○第5章: 素数の問題
計算で解ける、ルジャンドルの定理を利用オする問題や「隣り合う整数は互いに素」の定理を使う証明問題をまとめました。
○第6章: 整数についての証明問題
前章までに紹介できなかった、主として約数・倍数・素数以外の事項にかかわる整数の証明問題です。整数nにかかわる数学的帰納法による証明問題や、有理数・無理数にかかわる背理法による証明問題などです。
○第7章: 二項係数・多項係数にかかわる整数問題
二項係数・組合せ記号や二項定理・多項定理にかかわる問題は本章にまとめました。したがって、整数問題とはいえない問題も若干含まれます。これらの事項の総合的理解を深めてください。

本書により、受験生諸君が1つの大きな武器を手にされることを祈願します。