●空間図形問題の構成
受験生を指導するたびに感じることは、ほとんどの生徒が空間図形問題を苦手にしていることです。遠因は、中学から空間図形問題が苦手であったことによりますが、それが高校に入って、次のようにバラバラに少しずついろいろなことを学ぶため、どんな問題にどのツールを使ったらいいのか戸惑う上に、ときどき平面幾何の知識まで要求されるからです。
- 中高:空間幾何、多面体
- 数A:図形と計量(空間図形)
- 数Ⅱ:図形と方程式(空間図形)、三角関数
- 数B:空間ベクトル
- 数Ⅲ:複素数平面による回転、立体積分・回転体積分
●正多面体問題
書き始めてわかったことがあります。空間図形、特に正多面体は正式に数Aの分野に組み込まれたのですが、教科書にも参考書にも解説が少なく、授業でも多分かなりいい加減に済まされてしまっているのでしょう。しかし、意外と医大・難関大の試験には出題されています。本書では、思いつく限りの種類の空間図形問題を収録しました。特に体積積分問題に難問が多いと思います。本書では、姉妹書「完全対策 微積分応用問題」から、空間認識が難しい問題を選んで収録しました。文系の方でも、積分計算の前までなら、空間図形問題として十分参考になると思います。
また、空間図形問題では「空間ベクトル」に飛びつく傾向がありますが、ベクトルがかならずしも最善のツールというわけではないことに注意してください。たとえば等稜角錐の場合にはベクトルを使わない方がはるかに簡単です。本書では、「どんな問題にどんなツールを使うべきか」を詳細に解説しています。
まだ高校2年生の諸兄には、時間があるうちに、高校受験用の「解法のエッセンス 立体図形編」(東京出版刊)の斜め読みをお勧めします。「空間図形問題って、こんなに難しかったんだ!」「空間図形問題を解くためには、こんなことも知らなければならなかったんだ!」ということが実感できると思います。本書でも「大学入試レベルの中高入試問題」を数題収録しています。本書では、次の5つの章に分けて空間図形問題を掲載しています。
●第1章 多面体問題
正多面体の決定から、正四面体、立方体、正八面体、正十二面体、正二十面体に関するほぼすべての種類の問題を収録しました。問題ごとに、余弦定理やベクトルのどちらを使った方がよいのか、あるいは両方の解法を収録しています。
●第2章 空間図形の総合問題
四角錘、多角錘、立方体・直方体・四面体の断面の問題、4つの合同三角形が構成する四面体の問題を収録しました。第1章の内容がわかっていれば、解けるはずの問題群です。
●第3章 空間における平面と直線の問題
空間における平面・直線・角柱の問題を収録しました。この分野では、ベクトルや図形と方程式のツールを色々利用します。特に、空間における直線の問題は、空間認識とさまざまなツールを組み合わせて解く問題ばかりで、かなりの難問が多いと思います。
●第4章 空間における球や円の問題
この分野の問題は、かなり難しい問題ばかりであり、十分なトレーニングが必要だと思います。
●第5章 空間認識が難しい体積積分問題
体積積分問題が理系問題であるとは限りません。特に京大では、かなり難しい体積積分問題が出題されていますし、積分関数が多項式である問題は文系の範囲に含まれるものです。文系諸君にとってもも「断面図形の把握」までは十分トレーニングになる問題ばかりです。理系諸君は、この分野が苦手だと思ったら「完全対策 微積分応用問題」を学んでください。本書よりはもっと体系的に解説しています。本書により、受験生諸君が大きな武器を手にされることを祈願します。